2018年2月22日木曜日

[大人の区議選] 投票用紙の名前はちゃんと書こうね。「大森有希子区議の有効投票数について」問題となった投票用紙を、わかりやすく解説してみる


昨日、都選管から、昨年11月の区議選での得票数についての確認結果が出ましたので、できるだけわかりやすくまとめてみますね。



今回長文になりましたので、目次をつけてみました。

そもそも選挙結果は?


有効な投票用紙って?


意思がはっきり読み取れるとは?


具体例検証(会田弘貞さんの場合)


具体例検証(大森有希子さんの場合)


最終的には大森さんの投票無効


大森さんの主張


都選管は議員の天下り先か?


まとめ





そもそも選挙結果は?


昨年11月に行われた、区議会議員選挙の結果、大森有希子さんは2,176票、会田弘貞さんは2,175票でした。

当選
2,176.000票大森 ゆきこ大森 ゆきこ
オオモリ ユキコ
35無所属自営業
2,175.000票会田 浩貞会田 浩貞
アイダ ヒロサダ
77無所属区議会議員
(選挙ドットコムより)

この結果を受けて、会田さんは当然「異議申し立て」を行うわけです。

葛飾区の選挙管理委員会は、お二人の得票数に問題はない、という結果を出します。

会田さんは納得行かず、東京都の選挙管理委員会に訴えます。

そしてその結果が出たのが、昨日2月21日でした。
裁決書

この裁決書の「本文」には

本件選挙における当選人大森有希子の当選はこれを無効にする。

とあります。

そして、数ページにわたって、「なぜ大森区議の当選は無効なのか」が書かれています。

その理由をわかりやすく解説しましょう。

有効な投票用紙って?


公選法第67条には

投票した選挙人に意思が明白であれば、その投票を有効とするようにしなければならない

とあります。

意思がはっきり読み取れれば有効

なわけです。

意思がはっきり読み取れるとは?


今回の都選管の裁決書には、

投票の記載が候補者と一致しない投票であっても、その記載が候補者氏名の誤記と認められる限りは当該候補者に対する投票と認める

とあります。

氏名がちゃんと書けてなくても、まちがえちゃったんだな、とわかれば有効

なわけです。

いろいろ間違っちゃっていても、その投票のメッセージを最大限汲み取ってあげよう、という広い心の解釈ですね。


具体例で検証してみましょう(会田弘貞さんの場合)

まず、会田さんの有効票です。

会田さんは、「あいだひろさだ」さんと言います。「会田ひろさだ」「会田浩貞」も使っています。

裁決書では以下のように判断しています。
  • 「会」という漢字が「合」でも有効。他に似た名前の人がいないからね。
  • 「会田」としか書いてなくても有効。他に「あいだ」と読む人がいないからね。
  • 「金田ひろさだ」って書いてあるのも有効。他に「ひろさだ」っていう人がいないからね。
  • 「会田ひろし」「会田ひろゆき」「会田ひろまさ」など、下の名前(名)が間違って書いてある投票がある。「小林ひとし」のように名が似ている名前があるけど、ちゃんと「会田」って書いてあるから有効。
このような判断から、会田弘貞さんの得票数に変更はありません。


具体例で検証してみましょう(大森有希子さんの場合)


  • 「大森ゆうこ」「大森ゆかり」「大森みつこ」とか下の名前(名)が違っているのがたくさんあるけどほとんど有効。書かれた名と同じ名前の候補者がいないので、大森さんの得票として有効。 
  • 微妙なのは以下のケースです。

12番
  • 12番めの「大森ゆきえ」の場合、他の候補者に「みずまゆきえ」さんがいる。「大森ゆきこ」と「みずまゆきえ」、下の名前が似ているよねぇ。こりゃ間違えるかも。でも「大森」ってちゃんと書いてあるから、これは大森さんの有効票。

14番
  • 14番、漢字ちゃんと書こうよ~のケース。漢字に不慣れな人が書いたら、「森」もこうなるかな?名前の似てる他の候補者に「大高」さんがいるけど、この字は「高」じゃないよね、森だよね、これ。というわけで大森さんの有効票

16番
  • 16番のふりがなが間違っているケース。惜しいね。漢字はあっているのに、ふりがなが「おおさき」って読める。でも他の候補者に「おおさき」さんはいないし、漢字はあってるし、これは大森さんの有効票。

2番3番
  • 問題となっているのはこの2つ。
  • 2番めの「大森ひでこ」と、下の名前(名)が間違っているケース。他の候補者に「木村ひでこ」さんがいる。「大森 ゆきこ」「木村 ひでこ」は、氏「大森」「木村」も名「ゆきこ」「ひでこ」も似ておらず、氏名を入れ替えて書かれた場合、どちらの候補者に投票したかわからないので、無効。
  • 3番目の「大森ようこ」のケース。こちらも他の候補者に「くぼようこ」さんがいる。「大森 ゆきこ」「久保 ようこ」は、氏「大森」「久保」も名「ゆきこ」「ようこ」も似ておらず、氏名を入れ替えて書かれた場合どちらの候補者に投票したかわからないので、無効。
したがって、大森有希子区議の得票数は、2票減らして2,174票!

最終的には、大森さん当選無効

会田弘貞さん、     2,175票
大森有希子さん     2,174票

となるわけです。

皆さんはどんなふうに思われますか?

大森さんの主張

これに対し、大森さんはFacebookで以下のように主張なさっています。
本日、都選管が臨時委員会を開催し、開披点検の裁決がなされました。

報道ですでにご存じかとは思いますが、葛飾区選管の出した決定と違い、当落が入れ替わるという裁決がされました。

(もちろん、この裁決を不服として高等裁判所へ提訴する意向で、高等裁判所、最高裁で判決が出るまでの最長260日間は私は議員の職を失いませんので、引き続き議員としての役割を果たします。)

一部報道で『無効票が混じっていることがわかり…』と表現されていますが、みなさんにわかりやすい表現にしたのでしょうが、少々違うのです。

大森ゆきこの有効票の中に明確に別候補の票が混ざっていて、大森ゆきこの票が減ったのではありません!

名誉のために申し上げますが、葛飾区選管の数え間違いではありません!

正しくは『開披点検で摘出した票のうち、判例をもとに票の文字をみて葛飾区選管が大森の有効票と判断した票が、都選管の判断では大森の票ではないと解釈が変わってしまった。』のです。

その票が大森のことを指しているのか、そうでないかの『解釈』というのが今回の一番の問題でして。

P.3にあるように、投票した人が、どの候補者のことを書いたのか?

文字を見て推察するのです。その推察こそが、『解釈』なのですが、 多くの判例を見ながら実際の票が誰のことを示している票なのかを考えた結果、葛飾区選管は大森票と判断したのです。

都選管は議員の天下り先か?

また都選管については、こんな声もあります。

都議のおときた駿さんはHUFFPOSTのなかで、「都選管は7割が都議OB」と批判しています。
東京都では選挙の前に各会派が候補者を「推薦」する仕組みになっています。

自民党・公明党・民主党・共産党の大会派4つが候補を提示しまして、候補者は総勢10名。なんとうち8名が都議OBでした(残り2名は警察OB)。

高額報酬をもらう選挙管理委員のポストが、実際には議員OBの天下り先になっているかのような状態は、果たして都民感覚として認められるものでしょうか?

まとめ

今回の有効投票数再確認について、まとめてみました。

少しはご理解いただけたでしょうか。

大森有希子区議の2票(2番3番)が、混記なのかそうではないのか?最高裁判所の判例は具体的にどのようなものであるのか?

これからまだまだ、精査する必要がありそうですね。

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